SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出 抗カルジオリピンIgG 抗体(既存)、抗カルジオリピンIgM 抗体、抗β₂ グリ コプロテインI IgG 抗体、抗β₂ グリコプロテインI IgM 抗体 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 minor BCR-ABL mRNA
SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出
1)クイックナビ™-Flu + COVID19 Ag(デンカ株式会社)
抗カルジオリピンIgG 抗体(既存)、抗カルジオリピンIgM 抗体、抗β₂ グリ コプロテインI IgG 抗体、抗β₂ グリコプロテインI IgM 抗体
2)MESACUP™-2 テストカルジオリピン、ステイシア MEBLux™ テスト β₂GPI (株式会社医学生物学研究所)
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出
3)イムノファイン SARS-CoV-2(株式会社ニチレイバイオサイエンス)
4)AIA-パックCL® SARS-CoV-2-Ag(東ソー株式会社)
minor BCR-ABL mRNA
5)minor BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」(大塚製 薬株式会社)
令和 3年 6月16日より保険適用 | D012 感染症免疫学的検査(50) 区分:E1(既存) SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出 |
SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出 1)クイックナビ™-Flu + COVID19 Ag |
保険点数 | 600点 |
製品名 | クイックナビ(TM)-Flu + COVID19 Ag |
製造販売元 | デンカ株式会社 |
使用目的 | 鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液中のSARSCoV-2 抗原、A 型インフルエンザウイルス抗原およびB 型インフルエンザウイルス抗原の検出(SARS-CoV-2感染またはインフルエンザウイルス感染の診断の補助) |
有 用 性 | 特別な検査機器を必要とせず、検体中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗原、A 型インフルエンザウイルス抗原およびB型インフルエンザウイルス抗原の検出が約10 分で判定できる。 |
測定方法 | 免疫クロマト法 |
検体 | 鼻咽頭ぬぐい液または鼻腔ぬぐい液 |
測定原理 | 試料をテストデバイスの試料滴加穴よりテストストリップのサンプルパッドに滴加すると、試料は毛細管現象によりコンジュゲートパッドへ移動する。そこで抗A 型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)結合ラテックス、抗B 型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)結合ラテックスおよび抗SARS-CoV-2 モノクローナル抗体(マウス)結合ラテックスが溶解し、試料中のA 型インフルエンザウイルス抗原、B 型インフルエンザウイルス抗原またはSARS-CoV-2 抗原と免疫複合体を形成する。この免疫複合体はテストストリップのニトロセルロースメンブレン内を毛細管現象により移動し、テストライン上に固定化された抗A 型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)、抗B 型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)または抗SARSCoV-2 モノクローナル抗体(マウス)に捕捉され、A 型インフルエンザウイルスは赤色、B 型インフルエンザウイルスは青色、SARS-CoV-2 は赤色のラインを呈する。このラインの有無を目視で確認し、試料中のA 型インフルエンザウイルス抗原、B 型インフルエンザウイルス抗原またはSARS-CoV-2 抗原の有無を判定する。また、抗A 型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)結合ラテックス、抗B 型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)結合ラテックスまたは抗SARS-CoV-2 モノクローナル抗体(マウス)結合ラテックスはコントロールライン上に固定化された抗マウス免疫グロブリン(Igs)抗体(ウサギ)に捕捉され、ラインを呈する。これはテストストリップ上で反応が正常に進んだことを示す。 |
説 明 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き(本稿執筆時では第5.3 版)によると、確定患者と明らかな接触があった場合や、特徴的な症状(インフルエンザにおける突然の高熱、COVID-19 における嗅覚・味覚障害など)がない場合、臨床症状のみでインフルエンザとCOVID-19 を鑑別することは困難である、とされている。 また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(本稿執筆時では第4.1 版)では、インフルエンザ流行期には可及的に季節性インフルエンザとCOVID-19 の両方の検査を行うことを推奨する、とある。 本品は、季節性インフルエンザに対してはクイックナビ(TM)-Flu2、COVID-19 に対してはクイックナビ(TM)-COVID19 Agとそれぞれ同等の性能を有しており、発熱や呼吸器症状を呈する患者の診療に際して、SARS-CoV-2 感染またはインフルエンザウイルス感染の診断の補助を目的として使用される。 |
留意事項 | SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2 抗原およびインフルエンザウイルス抗原の検出を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19 の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19 の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数4 回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。 COVID-19 の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1 回に限り算定する。 ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19 以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1 回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。 なお、SARS-CoV-2・インフルエンザウイルス抗原同時検出を実施した場合、本区分「22」のインフルエンザウイルス抗原定性、SARS-CoV-2 抗原検出については、別に算定できない。 本品付属のクイックナビ検体浮遊液(COVID19 Ag 用)で処理した鼻咽頭ぬぐい液は、クイックナビ(TM)Flu2 およびクイックナビ(TM)RSV2 にも使用可能。 本品付属のクイックナビ検体浮遊液(COVID19 Ag 用)で処理した鼻腔ぬぐい液は、クイックナビ(TM)Flu2 にも使用可能。 クイックナビ(TM)Flu2 およびクイックナビ(TM)RSV2 の検体浮遊液で処理した検体は、本品には使用不可。 |
参考資料 | 1)新型コロナウイルス感染症( COVID-19)診療の手引き・第5.3 版(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000829136.pdf 2)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第4.1 版)(オンライン)(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000841541.pdf 3)疑義解釈資料の送付について(その69)(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000793740.pdf 4)検査料の点数の取扱いについて(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000779028.pdf 5)新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その47)(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000779045.pdf 6)新型コロナウイルス感染症に係る行政検査における抗原検査の取り扱いについて(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000779093.pdf |
製品関連URL | https://www.denka.co.jp/product/medical/detail_00356 |
文責:デンカ株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |
令和 3年 10月より保険適用 | D014 自己抗体検査 区分:E1(既存)/ E3(新項目) 抗カルジオリピンIgG 抗体(既存) 抗カルジオリピンIgM 抗体 抗β2 グリコプロテインI IgG 抗体 抗β2 グリコプロテインI IgM 抗体 |
抗カルジオリピンIgG 抗体(既存)、抗カルジオリピンIgM 抗体、抗β₂ グリ コプロテインI IgG 抗体、抗β₂ グリコプロテインI IgM 抗体 2)MESACUP™-2 テストカルジオリピン、ステイシア MEBLux™ テスト β₂GPI |
保険点数 | 232点 |
製品名 | MESACUP™-2 テスト カルジオリピン (MESACUP™-2 テスト カルジオリピン IgG) (MESACUP™-2 テスト カルジオリピン IgM) ステイシア MEBLux™ テスト β₂GPI (ステイシア MEBLux™ テスト β₂GPI IgG) (ステイシア MEBLux™ テスト β₂GPI IgM) |
製造販売元 | 株式会社医学生物学研究所 |
使用目的 | 血清中の抗カルジオリピン抗体IgG の測定(抗リン脂質抗体症候群の診断の補助) 血清中の抗カルジオリピン抗体IgM の測定(抗リン脂質抗体症候群の診断の補助) 血清中の抗β₂ グリコプロテインI 抗体IgG の測定(抗リン脂質抗体症候群の診断の補助) 血清中の抗β₂ グリコプロテインI 抗体IgM の測定(抗リン脂質抗体症候群の診断の補助) |
測定方法 | MESACUP(TM)-2 テスト:酵素免疫測定法(ELISA) ステイシアMEBLux(TM) テスト:化学発光酵素免疫測定法(CLEIA) |
検体 | 血清 |
有 用 性 | 抗リン脂質抗体症候群(APS)患者の血清61 例、APS および全身性エリテマトー デス(SLE)患者以外の自己免疫疾患患者(コントロール疾患)の血清69 例、合 計156 例の血清検体を本品で測定し、APS およびコントロール疾患に対する有病 正診率・無病正診率・正診率を算出した。 *MESACUP™-2 テスト カルジオリピンIgG* 本品によるAPS の有病正診率(感度)は69%、無病正診率(特異度)は94%、正 診率は82% であった。 *MESACUP™-2 テスト カルジオリピンIgM* 本品によるAPS の有病正診率(感度)は8%、無病正診率(特異度)は99%、正 診率は56% であった。 *ステイシアMEBLux™ テストβ₂GPI IgG* 本品によるAPS の有病正診率(感度)は69%、無病正診率(特異度)は99%、正 診率は85% であった。 *ステイシアMEBLux™ テストβ₂GPI IgM* 本品によるAPS の有病正診率(感度)は13%、無病正診率(特異度)は99%、正 診率は58% であった。 |
説 明 | APSは、脳梗塞や肺塞栓症などの動脈および静脈の血栓症、習慣流産や不育症などの妊娠合併症を臨床所見とし、血中から抗リン脂質抗体が検出されることを特徴とする自己免疫疾患である。APS は単独で発症する場合は原発性と分類するが、APS患者の半数はSLEなどの自己免疫疾患に合併する二次性APSである。国際血栓止血学会(ISTH)による現在の国際分類基準は2006年に提示された札幌クライテリア・シドニー改変であり、臨床基準と検査基準で構成されており、いずれの基準も満たす場合にAPS と分類・診断される。 検査基準は、ループスアンチコアグラント、IgG またはIgM 型の抗カルジオリピン抗体(aCL)、IgGまたはIgM型の抗β₂GPI抗体(aβ₂GPI)のいずれかが12週以上の間隔で2回以上陽性を示すこととされている。ISTHの分類基準には、aCLとaβ₂GPIは標準化されたELISA法で検出することが明記されているが、後年同学会が提出した検査法に関する推奨では自動機での測定も加えられた。 本邦では、2種類の測定法によるIgG 型aCLの検査が、抗カルジオリピン抗体、 抗カルジオリピンβ₂GPI複合体抗体という名称でそれぞれ保険適用されていたことから、後者がaβ₂GPIの代わりとして検査基準に記載されてきた。本製品群に よる4抗体測定が保険適用されたことで、本邦でも国際基準に沿ったAPS診断の促進が期待できる。また、APS患者の抗リン脂質抗体プロファイルを解析してリスクを分析するため、基準に含まれる3種全ての抗体に対する検査実施が推奨さ れている。以上から、今回の4抗体測定が保険適用されたことの臨床的意義は高い。 |
留意事項 | 別添1第2章第3部第1節第1款D014に次を加える。 (33)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、ELISA法を用いた免疫学的検査で抗カルジオリピンIgM抗体の測定を行った場合は、本区分の「27」抗カルジ オリピン抗体を準用して、一連の治療につき2回に限り算定する。なお、本検査と「25」の抗カルジオリピンβ₂グリコプロテインⅠ複合体抗体及び(28)の検査のいずれか2つ以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。 (34)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法を用いた免疫学的検 査で抗β₂グリコプロテインIIgG抗体の測定を行った場合は、本区分の「27」抗カルジオリピン抗体を準用して、一連の治療につき2回に限り算定する。なお、 本検査と「25」の抗カルジオリピンβ₂グリコプロテインⅠ複合体抗体及び(28)の検査のいずれか2つ以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。 (35)抗リン脂質抗体症候群の診断を目的として、CLEIA法を用いた免疫学的検査で抗β_2グリコプロテインIIgM抗体の測定を行った場合に、本区分の「27」抗カルジオリピン抗体を準用して、一連の治療につき2回に限り算定する。なお、本検査と「25」の抗カルジオリピンβ₂グリコプロテインⅠ複合体抗体及び(28)の検査のいずれか2つ以上を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する。 (36)「27」の抗カルジオリピン抗体、(33)、(34)及び(35)の検査を併せて実施した場合は、主たるもの3つに限り算定する。 |
参考文献 | 1)小川昌起, 甲斐宏一, 黒田慶子, 奥健志, 村島温子, 田村直人, 森下英理 子, 家子正裕, 渥美達也. 抗リン脂質抗体測定試薬「ステイシア MEBLuxテスト β2GPI」および「MESACUP-2テスト カルジオリピン」の基礎的性能および臨床的有用性の検討. 医学と薬学. 2021;78(4):447-59. 2)Miyakis S, Lockshin MD, Atsumi T, Branch DW, Brey RL, Cervera R, et al. International consensus statement on an update of the classification criteria for definite antiphospholipid syndrome (APS). J Thromb Haemost. 2006;4(2):295-306. 3)Devreese KMJ, Ortel TL, Pengo V, de Laat B, Subcommittee on Lupus Anticoagulant/Antiphospholipid A. Laboratory criteria for antiphospholipid syndrome: communication from the SSC of the ISTH. J Thromb Haemost. 2018;16(4):809-13. 4)阿部靖矢,渥美達也:抗リン脂質抗体症候群.血栓止血誌 2018; 29 (3): 294-306. |
文責:株式会社医学生物学研究所/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委 員会 |
令和 3年 9月14日より保険適用 | D012 感染症免疫学的検査 区分:E1(既存) SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 |
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 3)イムノファイン SARS-CoV-2 |
保険点数 | 600点 |
製品名 | イムノファイン SARS-CoV-2 |
製造販売元 | 株式会社ニチレイバイオサイエンス |
使用目的 | 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原の検出(SARS-CoV-2感染の診断補助) |
有 用 性 | 本キットは、特別な設備を必要とせず、簡易な操作により約20分でSARS-CoV-2を検出することができる。 |
測定方法 | イムノクロマト法 |
検体 | 鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液 |
測定原理 | イムノファインTM SARS-CoV-2(以下、本キット)は、イムノクロマト法を原理とし、鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原を定性的に検出するキットである。検体を採取して抽出した検体抽出液を、本キットのテストプレートに滴下し、メンブラン上の判定部にラインが現れるか否かで判定を行う。検体中にSARS-CoV-2抗原が存在する場合、テストプレートのメンブラン上に「ラット抗SARS-CoV-2抗原モノクローナル抗体」-抗原-「青色ラテックス結合ラット抗 SARS-CoV-2抗原モノクローナル抗体」の複合体が形成され、メンブラン上の判定部Tに青色のラインが現れる。 判定部Rには、「抗ラットIgG抗体」が固定されており、「青色ラテックス結合ラット抗SARS-CoV-2抗原モノクローナル抗体」が結合し、判定部Rには青色のラインが出現します。このことにより検査が正しく行われたことを確認できる。 |
説 明 | SARS-CoV-2は、2020年1月に特定された新規のコロナウイルスである。SARS-CoV- 2感染症(COVID-19)の主な症状は、発熱、倦怠感、乾いた咳などである。鼻づまり、鼻水、喉の痛み、筋肉痛、下痢などが少数の症例で認められる。 本キットは、特別な設備を必要とせず、簡易な操作により約20分でSARS-CoV-2を検出することができる。 (臨床性能試験の概要) (1) 国内臨床検体(鼻咽頭ぬぐい液)を対象とした、RT-PCR法との比較試験において、陽性一致率 82.5%(33例/40例)、陰性一致率 100%(73例/73例)であった。陽性例のコピー数分布(RT-PCR法の試料中のRNAコピー数換算あたりの陽性一致率)は、100コピー/テスト未満で37.5%(3例/8例)、100コピー/テスト以上400コピー/テスト未満で80.0%(4例/5例)、400コピー/テスト以上1000コピー/テスト未満で75.0%(3例/4例)、1000コピー/テスト以上で100%(23例/23 例)であった。 (2) 鼻咽頭ぬぐい液および鼻腔ぬぐい液を対象とした、ウイルス添加試験において、鼻咽頭ぬぐい液では陽性一致率100%(40例/40例)、陰性一致率100%(20例/20例)、鼻腔ぬぐい液では陽性一致率100%(40例/40例)、陰性一致率100% (20例/20例)であった。 |
留意事項 | SARS-CoV-2(新型コロナウイルスをいう。以下同じ。)抗原検出は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2抗原の検出(COVID-19(新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。) の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、 COVID-19の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定点数4回分を合算した点数を準用して算定する。 ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない。COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1 回に限り算定する。 ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。 |
参考文献 | 1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第4版.厚生労働省(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000788513.pdf 2)2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル.国立感染症研究所(オンライン), 入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_210319.pdf |
文責:株式会社ニチレイバイオサイエンス/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |
令和 3年 9月14日より保険適用 | D012 感染症免疫学的検査(22)区分:E1 SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 |
SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)抗原検出 4)AIA-パックCL® SARS-CoV-2-Ag |
保険点数 | 600点 |
製品名 | AIA-パックCL® SARS-CoV-2-Ag |
製造販売元 | 東ソー株式会社 |
主な対象 | *COVID-19の患者であると疑われる者 *COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断をする場合 |
主な測定目的 | 鼻咽頭拭い液又は鼻腔拭い液中のSARS-CoV-2抗原の測定(SARS-CoV-2感染の診断補助) |
測定方法 | 化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法) |
検体 | 鼻咽頭拭い液又は鼻腔拭い液 |
有 用 性 | 新型コロナウイルス感染を確認する検査の中で、抗原検査はウイルス蛋白質を検出する検査法であり、特異性の高い抗体を用いた免疫測定は特異度の高い定量を可能とする。本品は自動測定装置を用いた測定法であり、比較的手技が容易なうえ短時間で測定結果が得られること、時間あたりの処理数が多いこと、などの利点がある。 本品はSARS-CoV-2RNAを検出するRT-PCR法と比較して感度は低いものの、ウイルス蛋白質を検出する本品の判定をもとに、臨床症状等も勘案した上で、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」(厚生労働省)1)に従って感染診断を行うことの臨床的有用性を期待できると考えられる。 |
説 明 | 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2019年末から繰り返し感染拡大を引き起こしており、ワクチンや治療方法の進歩はあるものの、変異株の出現もあっていまだ終息には至っていない。新型コロナウイルス感染を確認する検査としては、核酸検出検査と抗原検査があるが、本品は、SARS-CoV-2のヌクレオカプシド蛋白質に特異的な抗体を用いた免疫測定による抗原検査であり、測定機器として全自動化学発光酵素免疫測定装置AIA-CLシリーズを用い、迅速(約25分)かつ特異的にSARS-CoV-2抗原を測定することが可能である。 対象検体は鼻咽頭拭い液又は鼻腔拭い液であり、検体の採取及び輸送方法については、「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」(国立感染症研究所)2)、「新型コロナウイルス感染症(COVID- 19)病原体検査の指針」(厚生労働省)1)及び採取用キットの説明書などを参照されたい。鼻咽頭拭い液又は鼻腔拭い液を懸濁した試料に、専用の検体処理液を液量の1/10量添加して攪拌、遠心した上清を装置にセットして測定に供する。なお、培養ウイルスを用いた評価から、検体処理液を添加することで、SARS-CoV-2が不活化されることが確認されている。 国内で採取された鼻咽頭拭い液136検体(RT-PCR陽性86検体、陰性50検体)を用いRT-PCR法との相関性を検討したところ、陰性一致率100 %(50/50)、陽性一致率76.7 %(66/86)、全体一致率85.3 %(116/136)となった。判定不一致となった20例の検体は、核酸濃度が1.8~270コピー/テストであった。核酸濃度と本品で測定したSARS-CoV-2抗原濃度の間には正の相関性が認められた3)。 また、不活化ウイルスまたはリコンビナント抗原を用いた評価において、インフルエンザウイルスは10μg/mL、リコンビナントSARS-CoV抗原は62ng/mLまで交叉 反応性が認められなかった。さらに、本品で用いている抗SARS-CoV-2マウスモノクローナル抗体は、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド蛋白質上のエピトープがHCoV-229E、HCoV-OC43、HCoV-NL63、HCoV-HKU1、MERS-CoV及びSARS-CoVのアミノ酸配列と一致しないこと、一部のSARS-CoV-2変異株(501Y.V1、501Y.V2、501Y.V3) において変異のない領域であることが報告されている3)4)。 |
留意事項 | (1)SARS-CoV-2(新型コロナウイルスをいう。以下同じ。)抗原検出は、当該検査キットが薬事承認された際の検体採取方法で採取された検体を用いて、SARS-CoV-2抗原の検出(COVID-19(新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)の診断又は診断の補助)を目的として薬事承認又は認証を得ているものにより、COVID-19の患者であることが疑われる者に対しCOVID-19の診断を目的として行った場合に限り、「25」マイコプラズマ抗原定性(免疫クロマト法)の所定 点数4回分を合算した点数を準用して算定する。ただし、感染症の発生の状況、動向及び原因を明らかにするための積極的疫学調査を目的として実施した場合は算定できない5)。 COVID-19の患者であることが疑われる者に対し、診断を目的として本検査を実施した場合は、診断の確定までの間に、上記のように合算した点数を1回に限り算定する。 ただし、発症後、本検査の結果が陰性であったものの、COVID-19以外の診断がつかない場合は、上記のように合算した点数をさらに1回に限り算定できる。なお、本検査が必要と判断した医学的根拠を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること5)。 (2)COVID-19の治療を目的として入院している者に対し、退院可能かどうかの判断を目的として化学発光酵素免疫測定法(定量)または電気化学発光免疫測定法(定量)によるSARS-CoV-2抗原検出を実施した場合は、「感染症の予防及び感 染症の患者に対する医療に関する法律における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」(令和3年2月25日健感発0225第1号)の「第1退院に関する基準」に基づいて実施した場合に限り、1回の検査につき上記のように合算した点数を算定する。なお、検査を実施した日時及びその結果を診療報酬明細書の摘要欄に記載すること5)。 |
注意事項 | 検体の採取及び輸送方法については「2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」(国立感染症研究所)、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針」(厚生労働省)及び採取用キットの説明書などを参照すること。 培養ウイルスを用いた評価において、SARS-CoV-2がAIA-CL用SARS‐CoV‐2‐Ag検体処理液を使用した調製によって不活化されることが確認されているが、感染性を完全に否定するものではないので、調製後の検体についても、調製前の検体と同様に取扱いには注意すること。 |
参考文献 | 1)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針 第4版.厚生労働 省(オンライン), 入手先 https://www.mhlw.go.jp/content/000788513.pdf 2)2019-nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル.国立感染症研究所(オンライン), 入手先 https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_210319.pdf 3)AIA-パックCL SARS-CoV-2-Ag電子添文(第1版)2021年9月作成 4)Yamaoka Y. et al., Highly specific monoclonal antibodies and epitope identification against SARS-CoV-2 nucleocapsid protein for antigen detection tests. Cell Rep Med 2021; 2(6): 100311. 5)検査料の点数の取扱いについて.保医発0318第1号(令和3年3月18日).厚生労働省 |
文責:東ソー株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |
令和 3年 11月より保険適用 | 区分:E3(新項目) minor BCR-ABL mRNA |
minor BCR-ABL mRNA 5)minor BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」 |
保険点数 | 2,520点 |
製品名 | minor BCR-ABL mRNA測定キット「オーツカ」 |
製造販売元 | 大塚製薬株式会社 |
主な対象 | minor BCR-ABLを有するフィラデルフィア染色体(Ph)陽性急性リンパ性白血病(ALL)が疑われる患者及びその患者 |
主な測定目的 | 末梢血白血球又は骨髄液有核細胞より抽出したRNA中のminor BCR-ABL mRNA/ABL mRNA比の測定 (minor BCR-ABLを有するPh陽性ALLの診断補助及び治療効果のモニタリング) |
測定方法 | アルタイムRT-PCR法 |
検体 | 末梢血白血球又は骨髄液有核細胞より抽出したRNA |
有 用 性 | ALL発症の直接的な原因遺伝子として、Phの存在が挙げられる。Phとは、22番染色体のq11に局在するBCR遺伝子が9番染色体のq34に局在するABL1遺伝子と結合する染色体転座が生じ、BCR-ABL1融合遺伝子が形成されたものである。Ph陽性ALLには、2つの型のBCR-ABL1融合遺伝子の存在が知られており、70%がminor BCR-ABL、30%がMajor BCR-ABLであるとの報告がある。本試薬は、minor BCR-ABL mRNAを測定することによりPh陽性ALLの診断補助を目的とする。また、Ph陽性ALLにおける治療奏功の指標として、BCR-ABLが検出不能になることが求められており、本試薬によるminor BCR-ABL mRNAの測定は治療効果のモニタリングにも有用である。 |
説 明 | 本邦の臨床現場では、minor BCR-ABL mRNAの検出には白血病関連キメラ遺伝子スクリーニング検査等、測定は自家調製試薬又は研究用試薬により実施されている。 本試薬は、骨髄液有核細胞又は末梢血白血球より抽出したRNA中のminor BCR-ABL mRNAを定量リアルタイムRT-PCRにて測定する、本邦で初めての体外診断用医薬品として薬事承認され保険診療下で使用できる試薬である。 臨床性能試験では、ALL疑い患者より採取した骨髄液153検体及び末梢血161検体を用いて、白血病関連キメラ遺伝子スクリーニング検査との一致率を検討した。 骨髄液153検体を対象に、陽性一致率100%(38/38)、陰性一致率93.9%(108 /115)及び全体一致率は95.4%(146/153)であった。末梢血161検体を対象に、陽性一致率97.4%(38/39)、陰性一致率93.4%(114/122)及び全体一致率は94.4%(152/161)であった。また、minor BCR-ABLを有するPh陽性ALL患者を対象に、本試薬の結果が最小検出感度以上、かつ登録衛生検査所の自家調製試薬で測定された結果が50コピー/μg RNA以上であった骨髄液63検体及び末梢血155検体について比較検討した結果、相関性を示した(骨髄液:r=0.89。末梢 血:r=0.90)。同患者を対象に、本試薬の結果が最小検出感度以上、かつ市販の研究用試薬で数値が得られた骨髄液61検体及び末梢血149検体について比較検討した結果、相関性を示した(骨髄液、末梢血いずれも:r=0.99)。 |
留意事項 | ・minor BCR-ABL mRNA (1)診断の補助又はモニタリングを目的としてリアルタイムRT-PCR法によりminor BCR-ABL mRNAを測定した場合は、区分番号「D006-3」Major BCR-ABL1(mRNA定量(国際標準値))の「1」診断の補助に用いるものを準用して算定する。 |
参考文献 | 1)Melo JV, et al. : Blood. 1993; 81: 2488-2491. |
文責:大塚製薬株式会社/監修:日本臨床検査医学会臨床検査点数委員会 |