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1マイコプラズマ肺炎はどういう病気ですか?
マイコプラズマ肺炎は肺炎マイコプラズマ( Mycoplasma pneumoniae )という細菌に感染することによって発症する呼吸器感染症です。子どもや若い人のほうがかかりやすいですが、大人でも感染します。1年を通して感染者がいますが、秋から冬にかけて患者数が増える病気です。
2マイコプラズマ肺炎の症状を教えてください
感染して2~3週間経ってから、発熱や頭痛、全身倦怠感によって発症します。咳は発熱後3~5日してから出始めることが多く、最初のうちは乾いた咳が出ます。咳は徐々に痰が出るような湿った咳に変わり、解熱後3~4週間続くこともあります。多くは炎症が肺まで及ばない気管支炎ですみますが、中には肺炎になってしまう人もいます。
3マイコプラズマ肺炎の検査はどのように行いますか?
マイコプラズマ肺炎の診断のための検査をお示しします。

・培養検査
患者さんの痰などに肺炎マイコプラズマがいないか、培養検査を行います。ただし、肺炎マイコプラズマの培養には特殊な培地が必要であり、また培養には 1 週間以上かかることから一般的に培養検査での診断は行われません。
・血清検査
ヒトは感染症にかかると、その原因微生物を倒すための抗体が血液中で増えます。肺炎マイコプラズマに感染すると、通常は血液中に存在しない肺炎マイコプラズマ用の抗体が産生されるため、血液検査で抗体を確認します。2週間以上空けての2回の検査で4倍以上になることが目安となります。
・迅速抗原検査
患者さんのノドの奥を綿棒で拭い、その中に肺炎マイコプラズマだけが持つ蛋白質が存在するかを、抗原抗体反応を用いて調べる検査です。この検査は簡便でかつ短時間で結果が出ますが、肺炎マイコプラズマが一定以上存在しないと陽性とならないため、感染初期では見逃してしまうことがあります。
・核酸増幅検査
患者さんのノドの奥を綿棒で拭い、その中に肺炎マイコプラズマのDNAが存在するかを調べる検査です。肺炎マイコプラズマの特異的なDNA配列を増幅し(PCR検査)、DNAが増えれば感染していると診断ができます。この検査は短時間で結果が出て、かつ抗原検査よりも少ない肺炎マイコプラズマを検出できますが、特殊な装置が必要です。新型コロナウイルス感染症の流行によって、多くの病院にPCR検査装置が配置されたため、検査可能な施設が増えています。
・その他
ここまでの検査は肺炎マイコプラズマに感染しているかを調べるための検査でしたが、肺炎になっていないかを調べるためには酸素の数値や画像検査が必要になります。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。