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1年齢や性別により検査値は変わりますか?
成長や加齢とともに肝臓や腎臓、ホルモンの働きなど、体内のさまざまな機能が変化します。これらを反映して検査値も変化することがあります。また、年齢にともない食生活や運動などの生活習慣が変わることも、検査値に影響します。性別によっても違いがあり、男性と女性では分泌されるホルモンが異なるほか、筋肉量や運動量、食生活などの違いが、検査値に影響を与えます。ただし、すべての検査項目が年齢や性別の影響を受けるわけではありません。
2年齢による検査値の変化は?
年齢による検査値の変化として、小児でALP(アルカリフォスファターゼ)が高くなることがよく知られています。ALPは、骨や肝臓、腎臓、腸などに含まれる酵素で、骨の成長にともなって骨由来のALPが増えるため、とくに成長期に値が高くなります。
一方、高齢者では、加齢による腎機能の低下で尿素窒素やクレアチニン値が高くなります。また、貧血の指標である赤血球数やヘモグロビン値も高齢者では低下する傾向にあります。
その他、年齢により高くなる検査値として、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)、中性脂肪、血糖値・HbA1cなどがあります。女性の場合は閉経後に女性ホルモンの分泌が減少することで、LDLコレステロールが高くなります。中年期以降では、食生活や運動など生活習慣に注意が必要です。
3性別による検査値の違いは?
異常と判定する値には、次の3つがあります。
成人では、性別によって差がみられる検査として、赤血球数、ヘモグロビン、クレアチニン、CK(クレアチンキナーゼ)、尿酸、HDLコレステロール(善玉コレステロール)などが代表的です。
男性ホルモンの働きで赤血球の産生が活発になるため、赤血球数やヘモグロビン値は男性が女性より高くなります。月経や妊娠による影響もあり、女性の方が貧血になりやすい傾向にあります。
また、筋肉量に比例するCKやクレアチニン値は男性が高くなりますが、筋肉量の差によるものなので、高齢者では差は縮まります。
女性ホルモンは、尿酸の排泄を促す作用や、HDLコレステロールを増やす作用があります。尿酸値は男性のほうが高く、痛風になるのは圧倒的に男性が多いです。HDLコレステロールは女性のほうが高くなります。
食生活による影響もあります。男性は過食や飲酒が多い傾向にあるため、γ-GT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)や中性脂肪などは男性のほうが高くなります。
●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。