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見逃せない検査異常

尿検査(定性検査)[ラボ NO.549(2024.10.発行)より]

尿検査(定性検査)で何がわかるの ?

腎臓、尿管、膀胱、尿道(男性は前立腺)の病気を見つけるために行います。その他、腎臓は体内で過剰になったものを尿として捨てる臓器ですので、糖尿病のように糖が余った状態では糖が、肝臓から腸にビリルビンがうまく捨てられなくなるとビリルビンが、尿からたくさん排出されるようになります。これらの病気や体内の変化を一度に検査するのが尿定性検査です。定性検査は、尿は濃さに影響を受けます。例えば、尿から少量蛋白は排泄されていますが、尿が非常に濃くなれば尿蛋白定性で±~+になることもあります。つまり、定性検査とはスクリーニング検査の位置付けで、陽性となったからといって必ずしも病気とは限りません。

尿蛋白は何をみているの ?

腎臓がいたむと尿に蛋白がたくさん漏れ出てきます。たくさん漏れ出るほど、腎臓がいたんでいる程度がひどくなるので、将来、血液透析を含む腎代替療法になる危険性が高まります。蛋白尿の程度は、尿定性検査では、-、±、+、2+、3+、(4+)の順で増加し、増加するほど図のように腎代替療法(血液透析など)になる危険が高くなります。尿蛋白+以上では腎臓専門医受診がすすめられています。

尿潜血陽性ならどうするの ?

尿潜血陽性の場合は、必ず尿沈渣という検査で赤血球が出ているかどうかをみる必要があります。顕微鏡で一定以上の赤血球を認めた場合を血尿と定義しています。目でみて赤い場合を肉眼的血尿と呼びますが、特に60 歳以上の方は、膀胱がんの危険性が高いので、泌尿器科専門医を受診しましょう。尿蛋白と血尿を同時に認めた場合は腎臓の病気の可能性が高く、腎臓専門医受診がすすめられています。

尿白血球陽性は ?

一般的に腎臓〜膀胱〜尿道の細菌感染で陽性になることが多いです。結石、がんなどの異物に反応する場合や、細菌とは無関係の原因で炎症が起こった場合などでも陽性になるため、陽性=細菌感染ではありません。

尿糖陽性は糖尿病 ?

腎臓病や心臓病に対して尿から糖分排泄を促す薬[Sodium-glucose transporter(SGLT)2阻害薬]の影響で尿糖が陽性となり、尿ケトン体が陽性になることがあります。この場合は、薬の作用ですので大きな問題はありませんが、それ以外の場合は糖尿病の可能性が高く、糖尿病専門医を受診ください。特に尿ケトン体陽性で体重が急激に痩せてきている場合は、早期の受診をおすすめします。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。