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見逃せない検査異常

CK(クレアチンキナーゼ)[ラボ NO.546(2024.7.発行)より]

CKとはなんですか?

クレアチンキナーゼ(CK)は、骨格筋、心筋などの筋肉に多く存在する酵素ですが、一部は脳にも存在します。
CKが存在する臓器の違いにより、骨格筋由来のCK-MM型、心筋由来のCK-MB型、脳・平滑筋由来のCK-BB型の3つの型があります。これらはアイソザイムといい、働きは同じで分子構造が違う仲間の集まりです。臨床検査では、CKが存在する臓器の損傷によって血液中に漏れ出てきたものを血中CKとして測定します。

どんなときに異常値になりますか?

CK は骨格筋や心筋に多く存在するので、血中CK が高値である場合には、まず骨格筋か心筋の損傷を考えます。骨格筋の損傷としては、進行性筋ジストロフィー、多発性筋炎、横紋筋融解症などです。このなかで頻度の高い横紋筋融解症の原因には、熱中症による全身痙攣、筋肉の外傷などがありますが、一部の脂質異常症の薬の副作用で横紋筋融解症を発症することがあります。また、激しい運動や筋肉注射後、脱水や一部のサプリメントの服用などでも血中CK は上昇します。心筋の損傷としては、急性心筋梗塞、心筋炎などです。一方、脳には血液中にCK が漏れ出ない仕組みがあり、脳梗塞、脳炎などでは血中CK の上昇はほとんど見られません。
血中CK が低値になる場合は、甲状腺機能亢進症、関節リウマチなどが考えられます。また、高齢者や長期臥床では、筋肉量の減少により低値となることがあります。

見逃してはいけない異常値とは?

血中CK が異常高値を示す緊急性が高い疾患には、心筋梗塞、横紋筋融解症、一部の麻酔薬の投与で発症する悪性高熱などがあります。血中CK が5000U/L(基準範囲 男性:59~ 248U/L、女性:41 ~ 153U/L)以上のときは、生命が危ぶまれるほど重篤な状態である可能性があります。一方、激しい運動や筋肉注射でも血中CK は著しく高値を示すことがあり、運動歴の確認や他の検査所見と併せての判断が必要となります。

CK が異常値のときはどうすればいいですか?

血液検査で血中CKが高値のときに追加検査が必要か否かは、受診した医療機関、医師が判断しますが、高値であっても異常ではない場合もありま す。運動や筋肉注射によって血中CKが上昇しているときには、安静にしていれば回復します。それ以外の場合には、アイソザイム測定などのくわしい検査を受けて、総合的に判断する必要があります。医療機関の指示に従うようにしましょう。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。