歴代理事長・会長挨拶
歴任者からの言葉

前理事長挨拶

1983年5月に村井哲夫先生を代表とし、任意団体「臨床検査医会」として発足しました本会は、2022年1月1日に一般社団法人になりました。
一般社団法人としての初代理事長を務めさせていただき、昭和から平成と、多くの臨床検査専門医の努力により発展してきた本会を、令和という新時代へ継承し、さらに発展させるべく、微力ながら尽力してまいりましたが、2025年5月23日に開催されました定時社員総会をもちまして任期満了となりましたため、理事長を退任いたしました。
1984年に日本臨床病理学会による臨床検査医の第1回認定試験が実施され、臨床検査医の試験による選抜が始まり、毎年多くの臨床検査専門医が誕生してきました。2014年5月に日本専門医機構が発足し、2021年8月に日本専門医機構による第1回の認定試験が実施され、学会ではなく第三者機関が認定する臨床検査専門医が誕生しました。また、日本専門医機構の臨床検査専門医は、2021年より病院広告が可能となり標榜診療科として届出ができるようになりました。
医療において臨床検査は必要不可欠です。臨床検査専門医は、基本診療領域の専門医の一つであってサブスペシャリティ領域の専門医ではありません。本会のさらなる発展のためには若手人材の育成が重要です。臨床検査の分野における専門医取得のための研修は、カリキュラム制を並行して走らせ、これまでのキャリアを活かした研修ができるため、カリキュラム制での専攻医の応募が増えています。
日本臨床検査医学会と協働で、医学生や医師にとってなじみの薄い臨床検査専門医の業務内容やキャリアパスを知っていただくことを目的に広報活動や啓発活動をより一層行っていきたいと思っています。
新型コロナウイルス感染症は2019年12月に中国で初めて報告され、今もなお世界的な流行を見せています。新型コロナウイルス感染症を診断するための検査には、抗原検査とPCR検査があり、臨床検査の価値が広く国民に認知される時代の到来となりました。
臨床検査を取り巻く環境は変化し続けており、検査業態も多様化している現在、臨床検査の精度管理と標準化、ゲノム医療の日常診療への導入にあたり臨床検査専門医の役割がより一層重要になります。臨床検査専門医の役割を明確化し、ゲノム医療や感染症対策にも係わっていきたいと考えています。
保健医療における臨床検査の価値をより一層高めるためには本会の運営において臨床検査関連学会・団体との連携は重要です。保健医療に限らず、関連学会・団体全体でまとまった力が発揮できるよう、本会は日本臨床検査振興協議会との結束を高め、日本臨床検査振興協議会の活動に積極的に参画してまいります。
本会は臨床検査ギルド集団の会として様々な課題に対応していく所存です。会員の皆様のご指導、ご協力をいただき、誠心誠意尽力してまいりたいと存じますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
一般社団法人日本臨床検査専門医会
理事長 〆谷 直人
前会長挨拶

平成の時代に幕が降り、新しい時代が始まる2019年は、臨床検査にとっても改正医療法、改正臨検法、そして改正省令で示された検体検査の精度の確保への本格的な取組が求められることになります。制度の改正が目指した目的を達成できるかどうかは、臨床検査に関係する私どもの双肩に懸かっているといっても過言ではありません。
昨年開催された「検体検査の精度管理等に関する検討会」の議事録、改正省令に関連して発出された医政局長通知での「遺伝子関連・染色体検査の精度の確保に係る責任者の医師又は臨床検査技師以外のその他の職種の例」、さらに厚労省関連部署との質疑から、2つのことを明確にしておかなければならないと感じました。
1つ目は、臨床検査室における臨床検査医(あるいは臨床検査専門医)についてです。今回の検討会の議論では、他の診療支援部門で医師の配置を求めていないこと、臨床検査技師は医師の指示の下、検体検査を行うのであって、その間に他の医師の介在を必要としないという結論であると理解しました。一方で、衛生検査所には指導監督医を置くことが義務とされており、今回の改正では指導監督医の責任が重くなっています。病院と衛生検査所で検査オーダーを受けてから結果を報告するまでのプロセスに関わる医療職を比べてみれば明らかですが、病院には、衛生検査所の指導監督医に対応する医師はいません。診療報酬の算定要件と関連付けた臨床検査専門医の役割を含めて、日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会、日本衛生検査所協会としっかり意思統一をして、検体検査の精度の確保に資する体制を提案していくべきと考えます。
2つ目は、前述の課題とも関連しますが、改正法、改正省令に対応した臨床検査専門医の診療現場における活動について、ワーキンググループで検討し、活動指針としてまとめることを常任幹事会で決定いたしました。委員長には佐藤尚武副会長、副委員長に米川修教育研修委員会委員長が就任し、本年中には活動指針案を公表する予定です。「臨床検査専門医」は臨床検査室で何をするのですか?という問いかけに明確に答え、そして日常診療での活動のあり方をモデルケースとして提示したいと考えています。医行為、すなわち「検査情報を用いた診断」を軸に、臨床検査専門医のあり方を具体化したいと思います。
昭和から平成へ、多くの関係者の努力で発展してきた臨床検査分野を、新時代へと継承する一年にしていきたいと決意しております。会員各位のご活躍をお祈りし、新年のご挨拶といたします。
日本臨床検査専門医会
前会長 登 勉