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検査の豆知識

血液検査④測定する時間や体勢で変わる検査[ラボ NO.559(2025.8.発行)より]

健康診断の案内に「朝食を食べずに来てください」と書かれているけど、どうして?

それは、血液検査の中には食事の影響を大きく受ける項目があるからなんです。
朝ごはんなどの食事により、食べたものが消化・吸収されて血糖値や中性脂肪(トリグリセリド)などの値が一時的に上昇します。その時間帯に採血した場合、通常より数値が高くなり「精密検査が必要」と判定されてしまうこともあります。そういったことが起こらないよう、一般的には空腹時(食後 10 時間程度)に測定することが推奨されます。ジュースやスポーツドリンクなど、糖分が含まれる飲み物も控える必要があります。

採血時間以外にも検査結果に影響するものはあるの?

あります。あまり知られていませんが、「姿勢」も検査結果に影響します。立って採血するのと座って採血するのでは、血液中の体液成分の割合が少しですが変わることがあるためです。
例えば、貧血の指標の1つである、 赤血球数やヘモグロビンは、立っているとき(立位)、座っているとき(座位)、横になっているとき(臥位)で値が変化することがあります。通常は座位で採血しますが、立位では重力の影響で足のほうに水分が多くたまります。そして、一部の水分が血管の外に移動し、血液が濃くなって値が高めに出ることがあります。臥位では、逆に血管内の水分が増えて薄まり、座位より値がやや低くなる傾向があります。アルブミンや総蛋白も、立っていると血液が濃縮されて濃度が高く出やすく、臥位では低く出ることがあります。

血圧はどうなの?

血圧は、時間帯によっても姿勢によっても変化する可能性があります。一般的に朝は交感神経が活発になって高くなりやすいです。また、高血圧で血圧を下げる薬を飲んでいる場合、薬を飲んで薬が効いてくると血圧が低くなります。なお、血圧を測る際には、心臓と同じくらいの高さに腕を置いて測ることが正確な結果を得るために重要です。

では、どのように気をつけて検査を受ければよいの?

健康診断の際に、不必要な精密検査を避けるには食事や糖分を摂らないで会場へ行きましょう。血圧の薬は特に指定がなければ飲んで行きましょう。クリニックや病院の診察には、時間に余裕をもって、毎回、同じくらいの時間に受診しましょう。採血前には深呼吸するなどして、リラックスして穏やかな気持ちでお待ちいただけるといいと思います。また、精密検査をすすめられた場合には放置せず、早めに受診してください。

●日本臨床検査専門医会:種々の検査を通して診断や治療に役立つ検査結果と関連する情報を臨床医に提供する臨床検査医の職能団体です。