歴代会長挨拶
会長歴任者からの言葉
前会長挨拶
平成の時代に幕が降り、新しい時代が始まる2019年は、臨床検査にとっても改正医療法、改正臨検法、そして改正省令で示された検体検査の精度の確保への本格的な取組が求められることになります。制度の改正が目指した目的を達成できるかどうかは、臨床検査に関係する私どもの双肩に懸かっているといっても過言ではありません。
昨年開催された「検体検査の精度管理等に関する検討会」の議事録、改正省令に関連して発出された医政局長通知での「遺伝子関連・染色体検査の精度の確保に係る責任者の医師又は臨床検査技師以外のその他の職種の例」、さらに厚労省関連部署との質疑から、2つのことを明確にしておかなければならないと感じました。
1つ目は、臨床検査室における臨床検査医(あるいは臨床検査専門医)についてです。今回の検討会の議論では、他の診療支援部門で医師の配置を求めていないこと、臨床検査技師は医師の指示の下、検体検査を行うのであって、その間に他の医師の介在を必要としないという結論であると理解しました。一方で、衛生検査所には指導監督医を置くことが義務とされており、今回の改正では指導監督医の責任が重くなっています。病院と衛生検査所で検査オーダーを受けてから結果を報告するまでのプロセスに関わる医療職を比べてみれば明らかですが、病院には、衛生検査所の指導監督医に対応する医師はいません。診療報酬の算定要件と関連付けた臨床検査専門医の役割を含めて、日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会、日本衛生検査所協会としっかり意思統一をして、検体検査の精度の確保に資する体制を提案していくべきと考えます。
2つ目は、前述の課題とも関連しますが、改正法、改正省令に対応した臨床検査専門医の診療現場における活動について、ワーキンググループで検討し、活動指針としてまとめることを常任幹事会で決定いたしました。委員長には佐藤尚武副会長、副委員長に米川修教育研修委員会委員長が就任し、本年中には活動指針案を公表する予定です。「臨床検査専門医」は臨床検査室で何をするのですか?という問いかけに明確に答え、そして日常診療での活動のあり方をモデルケースとして提示したいと考えています。医行為、すなわち「検査情報を用いた診断」を軸に、臨床検査専門医のあり方を具体化したいと思います。
昭和から平成へ、多くの関係者の努力で発展してきた臨床検査分野を、新時代へと継承する一年にしていきたいと決意しております。会員各位のご活躍をお祈りし、新年のご挨拶といたします。
日本臨床検査専門医会
前会長 登 勉