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臨床検査医学に興味をもつようになったのは、学生時代でした。Reversed-CPCという、検査結果から逆に病態を推測する検査値解釈の学習法がありますが、5年生の BSL の最後に行う R-CPC で、臨床検査医学科の先生達の鮮やかで深い検査値の解釈にとても驚いたのです。その後 6 年生の選択コースでも臨床検査医学科にお世話になり、2 年間の学外での臨床研修終了後に母校の臨床検査医学科に入りました。自分としては大変自然な流れでした。
研修内容は臨床検査専門医制度の卒後研修カリキュラムを見て頂ければお分かりになると思いますが、血液検査、生化学検査、免疫検査、凝固検査、微生物検査、遺伝子検査、はては輸血まで、ありとあらゆる分野の研修が含まれていました。先輩の先生達のご指導はもちろんですが、臨床検査技師さん達のご指導もまたとてもありがたく、勉強になりました。 その後は長くなるので省略しますが、内科や救命センターでの研修もさせて頂き、臨床検査専門医、内科認定医、透析専門医、感染症専門医と、修練した領域は全て認定医/専門医を取得、維持しています。
臨床検査室の外にいると、「臨床検査医って毎日何やっているの?」と思う方がほとんどでしょう。病院によって臨床検査医に求められる役割は様々ですが、多くは以下のカテゴリーに分かれるのではないかと思います。
・検査の利用者と検査室を結ぶ役割
・検査の「品質管理」(精度管理)
これら2つは表裏一体だと言えます。具体的にはパニック値や血液培養結果報告と対応の相談、感染対策への参加、不適切な検査依頼について改善を相談する、利用者からの難しい検査結果解釈の相談を受ける、臨床経過と矛盾する検査結果が正しいかどうかを検証し改善する、などがあります。検査技師さんとも連携し、利用者との疎通をはかり、最終的には多くの患者さんにメリットをもたらす事が臨床検査医の仕事です。
・検体管理加算取得
これは臨床検査医の現実的なメリットです。臨床検査医学は直接利益を上げることがない領域ですが、臨床検査を専門とする医師がいることは、病院にとっても経済的なメリットとなるのです。
現在は、検査を行う側から検査を利用する側に回り、総合診療科と細菌学教室の双方で主に感染症の診療、教育、研究に従事しています。診療に不可欠な検査依頼も結果解釈も深く考えて行うことができ(ていると自負していますが)、臨床検査医学は何をするにおいても私の基礎として役に立っています。
ということで、臨床検査医は個々の患者さんに役立つこともあれば、病院全ての患者さんに役立つこともあるのです。働く場としては、私のように臨床検査医学を勉強してから検査の利用者に戻る人もいますし、逆に将来再び検査室に戻る事だってあるかもしれません。検査室の内外に活躍の場は用意されています。皆さんも是非検査専門医を取得し、「検査医学を修練した」という自他ともに認められる証明を得てみては如何でしょうか。強くお勧めします。